「母ちゃん、人間なんて、ちっともこわかないや。」 「どうして。」
「ボク、まちがえて、本当のおててを出しちゃったの。 「えーっ!!・・・。」 「でも、ぼうし屋さん、何もしなかったよ。ほら、ちゃんと、こんないい温かい手ぶくろくれたもの。」
手ぶくろのはまった両手を、パンパンやって見せました。
母さんぎつねは、 「まあ。」 とおどろきましたが、 「本当に人間は、いいものかしら。本当に人間は、いいものかしら。」とつぶやきました。