「坊やー!!!・・・。」
「母ちゃん、ただいま―・・・。」「こわかったでしょう。大丈夫だった。・・・・・・・・」

「母ちゃん、人間なんて、ちっともこわかないや。」
「どうして。」

「ボク、まちがえて、本当のおててを出しちゃったの。
「えーっ!!・・・。」

「でも、ぼうし屋さん、何もしなかったよ。ほら、ちゃんと、こんないい温かい手ぶくろくれたもの。」

手ぶくろのはまった両手を、パンパンやって見せました。

 母さんぎつねは、
「まあ。」
とおどろきましたが、 
「本当に人間は、いいものかしら。本当に人間は、いいものかしら。」とつぶやきました。

てぶくろを買いに15
作:新美 南吉 絵・音声:亀崎小学校PTA図書部


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